AquaBeaconが未踏ジュニア2026に採択
光と音を組み合わせ、GPSの届かない藻場などの水中環境でも位置推定とマッピングを行うシステム「AquaBeacon」が採択されました。
未踏ジュニア2026にて、AquaWizの神山がプロジェクト「AquaBeacon ― 光と音を組み合わせて藻場でも位置推定とマッピングを行うシステム ―」で採択されました。担当プロジェクトマネージャー(PM)は尾藤正人氏です。
未踏ジュニアは、一般社団法人未踏が運営する、独創的なアイデアや技術を持つ17歳以下のクリエータを対象とした支援プログラムです。2026年度は231件の応募から19件のプロジェクトが採択されました。採択されたクリエータは、第一線で活躍するPMによるメンタリングと開発資金の支援を受けながら開発を進めます。
AquaBeaconは、水中で「どの場所を観測・撮影したのか」を把握し、得られた情報をマッピング(地図化)へとつなげる研究開発プロジェクトです。神山がAquaWizでの水中フロート開発を通じて、水中における位置情報の重要性と取得の難しさを実感したことが、本プロジェクトの出発点となっています。水温や映像などの観測データに正確な位置情報を結びつけ、水中環境をより立体的かつ具体的に捉えられる仕組みの実現を目指しています。
主な応用先として想定しているのは、海草や海藻が生育する「藻場」の分布調査です。藻場の広がりや経年変化を把握するには、撮影した水中映像を実際の場所と正確に対応づける必要があります。しかし、電波の届きにくい水中ではGPSによる位置情報を直接取得できません。カメラ映像から位置を推定する手法も、水流に揺れる海藻や移動する魚、絶えず変化する光の模様に阻まれ、安定した目印を追跡し続けることが難しいという課題があります。
そこでAquaBeaconでは、水上の親機と水中の子機を組み合わせ、音で距離を、光で方向を捉えるアプローチを採用しました。親機から発した音波が子機に届くまでの時間から両者の距離を算出し、子機のライトを親機のカメラで捉えて方向を求めます。これらに機体の姿勢や水深のデータを統合して親機に対する子機の相対位置を推定し、水上で取得したGPSの位置情報と結びつけることで、水中の観測データを地図上に配置します。あわせて、推定した撮影位置を手がかりに子機の映像を統合し、藻場や周囲の地形を3次元の情報として記録するマッピングにも取り組みます。映像を個別に見返すだけでは把握しにくい藻場の広がりを可視化し、継続的な調査や環境保全に活用できる情報基盤につなげていきます。
開発にあたっては、親機・子機の回路や筐体の設計から、音響による距離測定、光の追跡、センサデータの記録・解析ソフトウェアまでを一貫して手がけています。まずは記録した映像とセンサデータを後処理で解析する構成から着手し、プールなどの試験環境で位置推定とマッピングの精度を評価します。シミュレーションと実機検証を重ねながら、水の濁りや機体の揺れが推定結果に与える影響を確かめ、実際の水中環境で運用できる条件を明らかにしていきます。
また、AquaBeaconでは、ソースコードに加え、回路・基板・筐体の設計資料や検証用シミュレータ、開発ドキュメントをGitHub上で公開しています。システムの仕組みや評価手法をオープンに共有し、他の開発者が再利用・改良できる形に整えることで、水中観測や藻場調査に取り組む個人・チームに広く活用される技術を目指します。
プロジェクトの概要はAquaBeacon公式サイトを、設計資料やソースコードは公開リポジトリ一覧をご覧ください。